健康保険が適用される治療院について
接骨院や整骨院で治療を受けることは、皆さんの生活に身近なものとなってきています。 しかし、症状によっては健康保険が使えないことはご存知ですか? 治療院で薬の投与や外科手術、レントゲン検査などを行うことは認められていませんので、安易に「体が痛いから治療院へ行こう」と行動しても上手くかないこともあります。 治療院へのかかり方を正しく理解し、適切に利用していきましょう。
健康保険が使える症状
以下の症状は、健康保険扱いになります。※慢性的な状態でないものに限られます。
・急性の打撲、ねんざ、肉離れなど
・亜急性のもの 繰り返しの動作により痛めたもの 書き物を沢山して手首が痛くなったなど
・骨折や脱臼など ※応急手当の場合を除き医師の同意が必要となります。
・負傷原因がはっきりしている、筋ちがい、ぎっくり腰など
健康保険が使えない症状
次のような場合は健康保険扱いにならないため、施術費用は全額自己負担となります。
①日常生活での疲れによる肩こりや腰痛のため、近所の整骨院で施術を受けた。
→ただの肩こり、筋肉疲労などに対する施術に健康保険は使えません。
②数年前に傷めたひざが再び痛み出したので、整骨院で施術を受けた。
→過去のけがや交通事故の後遺症などは健康保険の対象になりません。
③けがをして医療機関で治療中だが、早く治したいので整骨院にも通院している。
→医療機関と重複受診している場合は、整骨院で健康保険は使えません。
④長い間にわたる関節痛で、痛み出すたびに整骨院に通院している。
→症状の改善がみられない、長期にわたる漫然とした施術に健康保険は使えません。
⑤神経痛やリウマチなどからくる痛みのため、整骨院に通院している。
→医療機関で治療すべき病気・けがに起因する痛みなどへの施術に健康保険は使えません。
⑥仕事から帰宅途中で骨折し、近くの整骨院に運ばれた。
→通勤時や業務上のけがなどは労災保険扱いとなります。
・マッサージ代わりの利用
・治癒する見込みのない長期間の施術
・過去の事故などによる後遺症
・外科、整形外科で治療を受けながらの施術
これらの場合も、健康保険が使えません。
施術内容は必ずチェックしましょう
整骨院・接骨院での施術費用は、原則としていったん患者が全額を負担し、事後に健保組合に申請して7割分の還付を受ける「療養費」の取り扱いとなります。
しかし、利便性が考慮された結果、都道府県との協定を結んでいる整骨院・接骨院では、療養費の支給申請を柔道整復師に委任することができるようになり、保険医療機関と同様、原則3割の自己負担のみで施術を受けられるしくみになっています。
委任するとはいえ、「療養費支給申請書」には自署・捺印を必ずしなくてはなりません。これらを求められた際は、負傷原因や負傷部位など記載事項に間違いがないか必ずご確認ください。
領収書を必ずもらおう
整骨院・接骨院は、領収書の無料発行が義務づけられています。医療機関にかかった際と同様に、領収書は必ずもらっておきましょう。
事後の施術内容の確認にも使えますので、施術内容の内容ごとに金額が細かく書かれた明細書ももらっておくとより望ましいですが、明細書の発行は有料の場合もあります。
まとめ
今の日本は医療費が年々増え続け、赤字となっています。各保険者も医療費を抑えたいと努力している現状です。
予防医学も進化しつつありますが、まだまだ浸透しているわけではありません。個人で気を付けて予防することも大切です。
しかし、どれだけ予防しても不慮の事故などで負傷する可能性はあります。
皆保険制度を使ってしっかりと症状を治すことは国民の権利です。症状がある場合はぜひ、鍼灸院や鍼灸師の先生に相談してみると良いです。
症状によっては保険診療の提供も検討可能です。症状が悪化する前に適切な治療を受けましょう。